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  • 執筆者の写真Shigehiro Kuraku

責任著者どう決める?

更新日:2021年7月13日

先日のブログ記事で少しだけ触れた責任著者について、これまでいろいろなケースがありました。研究室の一メンバーとして体験したことや、研究室のリーダーとして判断してきた実例を軽く書いてみます。


私が博士課程の主要な期間に在籍させていただいた理研の倉谷滋さんの研究室では、研究の着想やデータ取得における実務的な貢献度に相応した著者・責任著者の決め方が実践されていたように思います(そんなのあたりまえ!という風に思われる方が多いことを願います)。それに慣れていたこともあり、現在に至るまで、研究の中身にあった著者構成を実現することには特に意識してきたつもりです。ちなみに、その博士課程の時代のプロジェクトの副産物にあたる成果(博士論文の一部に含めた成果)を出版する際には、責任著者にならせていただいていました(Kuraku et al., 2006 - 当時情報のなかったゲノム配列を用いることなく爬虫類にもいわゆる'isochore'があることを自分の着想に基づき示唆した論文)。責任著者としての初めての経験でした。


私のドイツでの教員時代、自分の保有する研究費から給料を出している学生の研究は私が責任著者&最終著者になっていました。いっぽう、教授(Axel Meyer 博士)に費用援助してもらっていたポスドクの研究もあり、その場合には、教授が最終著者、そしてプロジェクトの実質的な指揮をしていた私が責任著者になっていました(例、Qiu et al., 2011 - ヤツメウナギのコドン使用頻度が異常ということが報告された初めての論文)。


研究室を運営する立場につく前から、筆頭著者として論文出版する経験は非常に重要だと思います。もちろん、雑誌のオンラインシステムから論文を投稿するという作業への慣れは大事ですが、単にそれを身に付けるためではなく、受理されるのにどういった仕上げが有効かを深く検討することやカバーレターをどう書くかということを含めて総合的な意味でです。


2012年から理研で指揮した研究室では、研究室メンバーであるポスドクが単独の著者となった総説(Hara, 2015 - 単独著者である原さんが加入前から扱ってきたテーマ周辺をまとめたもの)や、ポスドクと私とで共同で責任著者を務めた原著論文(Feiner et al. 2019; Onimaru et al., 2021)、そして、ポスドクが単独で責任著者を務めた原著論文(Onimaru et al., 2020 - 筆頭著者である鬼丸さんが自身の着想で機械学習に基づくゲノム配列解析を終始主体的に遂行 ; Uno et al., 2020 - 筆頭著者である宇野さんの細胞培養や染色体標本調製の腕が際立ったサメ類の核型解析)がありました。これらはケースバイケースで判断していました。


なんだか、これから道に入る方へは研究室選びの際に参考にしてもらうとよい視点のような気がしてきましたが、この辺までにします。



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