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  • 執筆者の写真Shigehiro Kuraku

サンマ研究、まずゲノム

更新日:2023年10月23日

当研究室としては初めて、サンマ Cololabis saira の研究に着手しました。人工繁殖に成功しているアクアマリンふくしまとの共同研究です(BuNaに掲載の記事)。最近の不漁続きもあり注目の集まる食用魚として(つい先週出たYahooニュース)、野外での繁殖生態を明らかにする以外に、小型化・淡水化したメダカ類の外群としての比較生物学的な興味も多大です。当研究室がNBRPのメダカのプロジェクトに加入したことと関係が全くないわけではありません。


サンマについてですが、NCBIのProteinデータベースに登録されている配列は、現時点で100件にも届きません。機能遺伝子に注目した分子レベルでの研究に先立って、全ゲノム配列の情報整備を目指してすでに動き出し、先月、ほとんどの遺伝子を含むゲノム配列を得ることができました。詳しくは、TakaraのNucleobondカラムで長鎖DNAを精製し、Agilent TechnologiesのTapeStationなどで高分子DNAが得られていることを確認したのち、PacBio HiFiリードを用いたアセンブリを行いました。当研究室でサンマの研究に着手したことは、9月20日開催の日本魚類学会年会シンポジウムでの講演の際に少しだけ触れました。


すでにこの重要種の研究を進めている機関との連携を図りつつ、必要とされる方に早めに使っていただけるよう、さらに配列情報を整えていく予定です。特定遺伝子の配列情報をご希望の方からのコンタクトはすでに受け付けております。当研究室では、Squalomixコンソーシアムの主導と並行して、こういった重要種の分子レベルの研究基盤の構築も、今後精力的に進めていきます。


ちなみに、アクアマリンふくしまで最もタイムリーな話題は、つい昨日から開始した再度のバショウカジキの展示でしょう。また、日本初の軟骨魚エイ類・ザラカスベの展示も先日アナウンスされていました。

アクアマリンふくしまの展示水槽で泳ぐサンマの稚魚(自身で撮影)



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