Shigehiro Kuraku
講演等の予定
更新日:9月17日
現在わかっているものについて講演等の予定を記しておきます。

6月14日 21時~ Scienc-omeオンラインセミナー (会員制)
「サメ研究で鍛えるゲノム時代の生物多様性リテラシー〜サメの分子進化学が照らす我々の祖先と海洋生物のくらし 〜」
8月11日 日本生物教育会(JABE)第77回全国大会 大阪大会 にて
全国の高校生物の教師向けにDNA解析チュートリアルを実施
9月7~9日 日本動物学会 第94回山形大会
シンポジウム名: S13 水棲動物バイオリソースから紐解く生命現象の最前線
「モデル動物学のその先へ:世界の生物多様性ゲノミクスの流れを知り生命情報学を味方に
Beyond animal model biology: harnessing bioinformatics and biodiversity genomics」
ヒトや実験動物を軸に生命科学の基本知識体系が築かれてきたのはいうまでもない。その土台となったのが、さまざまなバイオリソースと分子生物学を駆使した実験ツールである。演者は、当然このことに敬意を払ったうえで、以前から「反モデル生物学」という考え方を提案してきた。高等も下等もなく、多様な生物それぞれが同じ進化の時間を生き抜いてきたこと、そして、その意味においては現存するすべての生物種が同等な存在であることを前提に、その多様性の成り立ちに迫ろうというマインドである。近年のゲノム編集やオミクス解析の普及は、このマインドの実践を後押しし、モデル生物で得られた知識をつなげ、これまで継続的に研究には用いられてこなかった生物までも比較に加える際の敷居を大きく下げた。本発表では、まず、それらのアプローチの基となる全ゲノムDNA情報について、全真核生物での情報集積のイニシアチブであるEarth BioGenome Project(EBP)や、その傘下で展開されるVGPやDarwin Tree of Life、そして、自ら率いるSqaulomixなどのコンソーシアムの活動を紹介し、とくにそれらからリリースされた情報をどう活用したらよいかについての考えを共有したい。加えて、EnsemblとNCBIなどのデータベース、並びにJBrowse2などの可視化ツールの近況にも触れる。それぞれの生物について、有用な生命情報はどこにあり、利用する際にどういった注意が必要なのか、といったガイドを研究者コミュニティとして共有することの重要性についても議論したい。
9月25、26日 倍数性研究会(国立遺伝研)にて
講演「我々が知り得た最も古い全ゲノム重複の痕跡を探る」
10月21日(土)
生命誌研究館でのシンポジウム「ゲノムから見る生物の進化」 にて
講演「さまざまな魚のゲノム情報から、5億年前の私たちの祖先の姿を推定する」
背骨を持ったいわゆる脊椎動物のうち、私たちが魚と呼んでいる生物たちはごく一部に思われるかもしれないが、種数では半分以上を占めている。それらが枝分かれしてきたプロセスを辿ると、魚と上陸したそれ以外の系統は二分されるわけではなく、上陸した系統は魚の一部から派生したという表現が妥当である。したがって、系統学的には、魚の多様性は、脊椎動物全体の多様性ともいうことができる。ごく最近、多様な魚のおもな系統からのゲノム情報が出揃った。それらの比較から、私たちヒトのゲノム構成が現在に至るまでにどのような変容を遂げてきたのかがついに明らかになりつつある。
11月28日 日本分子生物学会 年会(神戸)
シンポジウムO-2PS-02『明らかになった左右非対称性形成機構の進化的多様性と共通性』にて
講演「ツールキット遺伝子の保存性を疑う:初期発生を司る遺伝子群のレパートリ可塑性」
One of the grand challenges in biology is to understand how information in DNA sequences shapes organismal phenotypes, and animal development provides a variety of intriguing study systems. Previously, the “phylotypic stage” in vertebrate embryogenesis was shown to correspond mostly to pharyngula stages and be highly conserved molecularly, as well as morphologically. In contrast, gene repertoires regulating early embryogenesis including L-R patterning tend to exhibit a higher cross-species divergence. Some of the divergent repertoires have gone missing and resulted in the absence of orthologs in the genome (e.g., eutherian orthologs of Nodal-related, Wnt11b, Tbx6L/VegT/tbx16, ADMP1, ADMP2, Sizzled, and Crescent, missing from their genomes; Kuraku & Kuratani, Genome Biol. Evol. 2011; reviewed in Kuraku et al., Dev. Growth Diff. 2013). Of those, this presentation focuses on the Nodal-related gene (newly named Nodal2) retained in reptiles and birds that lack motile cilia, and the Nodal/Nodal2 gene duplication will be discussed in relation to how L-R asymmetry is established in these groups of animals (Kajikawa et al., Nat. Ecol. Evol. 2020). This study was fueled by whole genome sequencing of the Madagascar ground gecko Paroedura picta (Hara et al., BMC Biol. 2018; Yamaguchi et al., Mol Ecol. 2021), which provided a clue of understanding how conserved and non-conserved components co-exist in a genome (Hara & Kuraku, eLife 2023). Most recent findings from in-house shark and ray genome sequencing, involving Lefty genes, will also be introduced.