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  • 執筆者の写真Shigehiro Kuraku

講演等の予定

更新日:2023年11月25日

現在わかっているものについて講演等の予定を記しておきます(更新 10月10日)。


 

6月14日 21時~ Scienc-omeオンラインセミナー (会員制)

「サメ研究で鍛えるゲノム時代の生物多様性リテラシー〜サメの分子進化学が照らす我々の祖先と海洋生物のくらし 〜」



 

 全国の高校生物の教師向けにDNA解析チュートリアルを実施


 

9月7~9日 日本動物学会 第94回山形大会


シンポジウム名: S13 水棲動物バイオリソースから紐解く生命現象の最前線

「モデル動物学のその先へ:世界の生物多様性ゲノミクスの流れを知り生命情報学を味方に

   Beyond animal model biology: harnessing bioinformatics and biodiversity genomics」


ヒトや実験動物を軸に生命科学の基本知識体系が築かれてきたのはいうまでもない。その土台となったのが、さまざまなバイオリソースと分子生物学を駆使した実験ツールである。演者は、当然このことに敬意を払ったうえで、以前から「反モデル生物学」という考え方を提案してきた。高等も下等もなく、多様な生物それぞれが同じ進化の時間を生き抜いてきたこと、そして、その意味においては現存するすべての生物種が同等な存在であることを前提に、その多様性の成り立ちに迫ろうというマインドである。近年のゲノム編集やオミクス解析の普及は、このマインドの実践を後押しし、モデル生物で得られた知識をつなげ、これまで継続的に研究には用いられてこなかった生物までも比較に加える際の敷居を大きく下げた。本発表では、まず、それらのアプローチの基となる全ゲノムDNA情報について、全真核生物での情報集積のイニシアチブであるEarth BioGenome Project(EBP)や、その傘下で展開されるVGPやDarwin Tree of Life、そして、自ら率いるSqaulomixなどのコンソーシアムの活動を紹介し、とくにそれらからリリースされた情報をどう活用したらよいかについての考えを共有したい。加えて、EnsemblとNCBIなどのデータベース、並びにJBrowse2などの可視化ツールの近況にも触れる。それぞれの生物について、有用な生命情報はどこにあり、利用する際にどういった注意が必要なのか、といったガイドを研究者コミュニティとして共有することの重要性についても議論したい。

 

講演「我々が知り得た最も古い全ゲノム重複の痕跡を探る」


 

10月21日(土)

講演「さまざまな魚のゲノム情報から、5億年前の私たちの祖先の姿を推定する」


背骨を持ったいわゆる脊椎動物のうち、私たちが魚と呼んでいる生物たちはごく一部に思われるかもしれないが、種数では半分以上を占めている。それらが枝分かれしてきたプロセスを辿ると、魚と上陸したそれ以外の系統は二分されるわけではなく、上陸した系統は魚の一部から派生したという表現が妥当である。したがって、系統学的には、魚の多様性は、脊椎動物全体の多様性ともいうことができる。ごく最近、多様な魚のおもな系統からのゲノム情報が出揃った。それらの比較から、私たちヒトのゲノム構成が現在に至るまでにどのような変容を遂げてきたのかがついに明らかになりつつある。

 

11月28日 日本分子生物学会 年会(オンラインセッション)

シンポジウムO-2PS-02『明らかになった左右非対称性形成機構の進化的多様性と共通性』にて

講演「ツールキット遺伝子の保存性を疑う:初期発生を司る遺伝子群のレパートリ可塑性」


One of the grand challenges in biology is to understand how information in DNA sequences shapes organismal phenotypes, and animal development provides a variety of intriguing study systems. Previously, the “phylotypic stage” in vertebrate embryogenesis was shown to correspond mostly to pharyngula stages and be highly conserved molecularly, as well as morphologically. In contrast, gene repertoires regulating early embryogenesis including L-R patterning tend to exhibit a higher cross-species divergence. Some of the divergent repertoires have gone missing and resulted in the absence of orthologs in the genome (e.g., eutherian orthologs of Nodal-related, Wnt11b, Tbx6L/VegT/tbx16, ADMP1, ADMP2, Sizzled, and Crescent, missing from their genomes; Kuraku & Kuratani, Genome Biol. Evol. 2011; reviewed in Kuraku et al., Dev. Growth Diff. 2013). Of those, this presentation focuses on the Nodal-related gene (newly named Nodal2) retained in reptiles and birds that lack motile cilia, and the Nodal/Nodal2 gene duplication will be discussed in relation to how L-R asymmetry is established in these groups of animals (Kajikawa et al., Nat. Ecol. Evol. 2020). This study was fueled by whole genome sequencing of the Madagascar ground gecko Paroedura picta (Hara et al., BMC Biol. 2018; Yamaguchi et al., Mol Ecol. 2021), which provided a clue of understanding how conserved and non-conserved components co-exist in a genome (Hara & Kuraku, eLife 2023). Most recent findings from in-house shark and ray genome sequencing, involving Lefty genes, will also be introduced.



 

12月6~8日 神戸ポートアイランド

分子生物学会年会(対面)にて、Late-breaking Abstract (LBA)のポスター発表


Squalomixコンソーシアムによるサメ・エイ類の分子生物学研究:脊椎動物の進化と多様性の成立ちを理解するために

Molecular biology of sharks and rays navigated by Squalomix Consortium: for understanding vertebrate evolution and diversity


山口 和晃(当時、理研BDR)、川口 茜(遺伝研)、宇野 好宣(東大)、門田 満隆(理研BDR)、西村 理(理研BDR)、松本 瑠偉(沖縄美ら海水族館)、喜屋武 樹(海遊館)、加登岡 大希(新江ノ島水族館)、都築 信隆(下田海中水族館)、山内 信弥(アクアマリンふくしま)、山田 一幸(東海大学海洋科学博物館)、兵藤 晋(東大・大気海洋研)、佐藤 圭一(沖縄美ら海水族館)、工樂 樹洋(遺伝研)


要旨:哺乳類のように大型かつ長寿、そして胎生の種を含むなど近年増大する生物学的な興味に事欠かないにもかかわらず、軟骨魚類(サメ・エイ・ギンザメ類)は、分子研究の対象としてはほとんど注目されてこなかった。哺乳類からみて、他の硬骨脊椎動物系統よりも遠縁であることに加えて、ゲノムサイズが大型(多くが4Gb以上)であることがその大きな要因である。この風潮に反して、我々は、2013年頃より、理化学研究所神戸キャンパスを拠点として、脊椎動物の進化と多様性の成立ちを分子レベルで理解する研究を支えるため、サメ類のゲノム・トランスクリプトーム・エピゲノムの集積を進めてきた。この間、ヒトや実験動物の研究で培われた技術を野生生物へ展開することを強く意識して、汎用的なHi-Cデータ取得プロトコル(Kadota et al. GigaScience, 2020)やゲノムアセンブリの品質評価を助けるツール開発(Nishimura et al. Bioinfo, 2017)について発信した。それを生かしてHoxクラスターの奇異な分子進化(Hara et al. Nat Ecol Evol 2018)、そして性染色体の同定やDNA配列に基づく核型進化パターン(Yamaguchi et al. Genome Res. 2023)について調べ、深海での光受容(Yamaguchi et al. PNAS, 2023)ならびに繁殖様式(Ohishi et al. Genome Biol Evol, 2023)についての研究も進めた。現在では、対象をエイやギンザメ類にも拡げ、国内各地の水族館の協力のもと、「Squalomixコンソーシアム」として国際的な生物多様性ゲノミクスの動きと連携し、静岡県三島市の国立遺伝学研究所を拠点として活動している(Nishimura et al. F1000Res, 2022)。本発表では、これまでの活動の成果を紹介するとともに今後の研究の可能性を展望する。

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