• Shigehiro Kuraku

講演等の予定

更新日:9月19日

更新日:9月19日


いまわかっている秋までの講演等の予定です。(内容は随時更新しています)


9月25日

イベリアトゲイモリゲノム解読記念シンポジウム~多様な動物のゲノミクスから学ぶ~

「大きなゲノムのDNA配列情報を超えた価値:Squalomixコンソーシアムによる軟骨魚サメ・エイ類の研究」

あまり顧みられることはないが、ヒトや伝統的な多くの実験動物のゲノムサイズは、軒並み3ギガベース(Gb)を大きくは超えない程度に納まっている。従って、生命現象の分子メカニズムについての我々の知識は、その範囲に納まるサイズのゲノム情報の発現機構についてのものに過ぎなかった。ところが近年、10Gbに迫る、あるいはそれを超えるゲノムサイズの有尾両生類、バッタ類、一部の哺乳類や硬骨魚類などのDNA配列情報が読み取られ、公共データベースでリリースされるに至った。ゲノムの肥大化は、全ゲノム重複のような倍数化を伴うとは限らず、遺伝子間あるいはエキソン間の領域への反復配列の侵入によるゲノムワイドな弛緩にも起因しうる。核や細胞の空間や転写や複製にかかる時間にもゲノム肥大化が影響しうるため、ゲノムサイズの増大は、DNA配列読取りの費用や時間についての懸念にとどまらない、生命科学の大きな関心事であることは間違いない。演者は、同様にゲノムサイズが増大した種を多数含む軟骨魚類(サメ、エイ、ギンザメ)に注目し、とくに日本で調べる価値が高いと考えられる複数の種に絞ってゲノムDNA情報の新規読取りを試みるとともに、その情報を利用した生命科学研究を進めている。この活動はSqualomixと名付けたコンソーシアムとして(https://github.com/Squalomix/info; Nishimura, Rozewicki, et al., F1000Research 2022)、全真核生物の高精度ゲノム情報読み取りを目指す世界規模のイニシアチブであるEarth BioGenome Project(EBP)にも加盟している。本発表では、読取った長大なゲノム配列の妥当な評価法や、生命科学の問いに答えるための関連データの整備や公開の方法について議論する。


↓すでに済んだもの



8月26日17:00~19:00

日本哺乳類学会

自由集会「海棲哺乳類学への多様なアプローチ」において

講演「DNA情報の視点から大型海生動物を広く眺めてみて」




日本動物学会年会

シンポジウム「海産無脊椎動物―生命情報の宝の山VII―オープンデータサイエンス」にて

講演「生物多様性ゲノム学の新潮流―「競争」ではなく「協働」で科学を進める」

(9月9日(金))


要旨:軟骨魚類を対象にゲノム情報の読取りに着手したそもそもの動機は、技術を育てるのに、難易度が高そうで他所で手掛けられていない題材を探していたからである。あるとき、精力を傾けて自分達で繋ぎ上げ、公開したゲノムアセンブリを、海外の別のグループが染色体長にまで延伸して、論文の一部として報告しているのを知り、複雑な心境にさせられた。約1年前の出来事である。冷静になってみると、自分達も、繋がり具合が不十分と感じたゲノムアセンブリのショートリード生データに戻って、それを用いてアセンブリを改善し、論文出版の材料の一つとしたことがあった。「競争」のマインドを捨ててみると、こういった事例は、オープンデータを用いて、それぞれの研究者が「協働」で生命科学に取り組み、科学を推し進めている好例だと捉えることもできるかもしれない。現在、見渡すと、測り知れない数の生物種の全ゲノム配列情報が公開されている。ところが、アセンブリ構築の手順やデータベース内での見え方、そして、配列情報としての完成度、利用についての制約のかかり方はさまざまである。 本講演では、演者を含む世界の研究者がこういったゲノム情報のデータ生産にどのように取り組んでいるのかを概観したうえで、人材育成やノウハウの醸成、そしてデータリリースや利用についてどう臨むべきなのか、について議論する。演者自身が主導する軟骨魚類オミクスコンソーシアムSqualomixや本年度から関わることになったメダカのナショナルバイオリソースプロジェクトなどの活動に関する話題も紹介する。


日本魚類学会年会

シンポジウム「ゲノムが拓く魚類表現型多様性研究の新展開:分野横断的自然史研究と今後の展望」にて

講演「多様な魚類の核ゲノムDNA情報が明らかにした脊椎動物5億年の進化」

(9月20日(火))


脊椎動物の多様性の理解は、遠縁な魚類系統間の差異を把握することなしには達成しえない。私は、その源を分子レベルで記述することを目標として研究を進める過程で、これまで円口類(ヌタウナギ・ヤツメウナギ)や軟骨魚類(サメ・エイ・ギンザメ)のゲノム情報を扱ってきた(例、Hara et al., Nature Ecol. Evol. 2018)。さらに、シーラカンスとハイギョ、そして多様な条鰭類の情報が多方面から得られたおかげで、四肢動物との対比をふまえ、これらの魚類系統間のゲノム構造の違いを総覧することが可能となった。染色体構成に注目した場合、多くの条鰭類は、数十Mb長の染色体20数本(ハプロイドあたり)からなるゲノムを持ついっぽう、軟骨魚類は100Mb以上から10Mb以下まで多様な長さの、ときに50余本にも及ぶ染色体が混在する核型を持っており、ゲノムサイズも往々にして5Gbを超えるなど抜きんでて大きい。ヤツメウナギ類の多くのゲノムも、それと同等以上の数の染色体からなるが、ゲノムサイズはそれほど大きくはなく、各々の染色体は10Mb以下と小型でありGC含量のゲノム領域ごとのばらつきが顕著である。互いに遠縁なこれらの魚類系統の間では、形態だけでなく、繁殖様式などの生活史形質、そして、DNA配列の進化速度などにも大きな違いがみられる。本講演では、DNA情報の読取り技術や配列情報の解析方法についての話題も織り交ぜながら、全ゲノム配列情報から、それぞれの魚類系統「らしさ」を導き出す研究について紹介する。


日本バイオインフォマティクス学会

ワークショップ WS6「大規模NGSデータを基盤としたゲノム解析」(9月15日(木) 10:30-12:00)にて

講演「我々の祖先と海洋環境のいまを映す生命情報学―水族館との連携と非日本型コアラボ構築が生んだサメゲノム研究」


十分に長いDNA分子を調製することができさえすれば、ロングリードを得て、数ギガベースのゲノムであっても、一晩でアセンブリを行うことが可能な時代となった。世界で未だ三百に満たない数の目撃記録しかないメガマウスザメのDNA情報をデスク上で眺めながら、はたしてどのように暮らしている生物なのか思いを馳せ、その情報を分子進化学的手法で解析することによって、我々の体内で肥満を抑制することで知られるレプチン遺伝子が、4.5億年前の祖先のゲノム中にあったことを言い当て、その始祖的な機能の推察を愉しむこともできる。演者は、神戸理研にて生命科学を広く支えるDNA解析基盤を指揮しながら、複数の水族館と双方向に連携しながら、サメ類をはじめとする情報の少ない動物についての独自の分子研究を進めてきた。2020年には、軟骨魚類の生体試料を活用したオミクス解析コンソーシアムSqualomix(https://github.com/Squalomix/info)を立ち上げ、生物多様性ゲノミクスを推進する世界規模のイニシアチブであるEBPにも加盟した。本講演では、この展開の途上で出くわしたレア海洋生物についてのエピソードや、多様な生物に対応するためのオミクス情報取得手法の最適化、そして技術運用を支える人材確保とチーム組織にまで話題を広げ、いままさに拓かれつつある新たなDNA情報研究の可能性を展望する。



7月15日(金)

りんくうサイエンスカフェ(大阪公立大学 獣医学部 にて)

「大阪湾と実験室をむすぶー動物の昔と今を照らすDNA情報研究」

私たち人間にとって、他の生物は、食料やペットから、ときには乗り物や病原菌に至るまで、多様な位置を占めています。それら各々について、生物と関わる「職」があり、その職を支える「専門性」が存在します。今回紹介するのは、海洋生物に関わる「職」の「専門性」が混じり合うことにより可能になった研究に関する話題です。

 もともと私は、分子進化学という、現存の(あるいはごく最近に絶滅した)生物のDNAやタンパク質の配列の情報を用いて、過去に何が起きたのかを調べる分野で研究を始めました。過去のことは化石から、と思われるかもしれませんが、現存の多様な生物のDNA情報を合わせて解析することにより、約10億年前にこの遺伝子が重複して2つになった、というような推測もできます。これを単一の遺伝子からさらに拡張することにより、化石としては残りもしないその頃の生物が持つDNA情報の全体、すなわち、ゲノムの構成まで言い当てることも、ある程度は可能です。

 神戸ポートアイランド内にある私の研究室では、約10年間に渡って、DNA解析技術をより多くの人がより安く利用できるよう多面的な活動を行いながら、育てた技術を駆使して、大阪湾岸にある海遊館などの水族館と連携して、軟骨魚類に含まれるサメ・エイ類のDNA情報の読み取りと生物種横断的なゲノムインフォマティクス解析を行ってきました。軟骨魚類については、分子レベルの研究が脊椎動物の中でとくに遅れていましたが、2018年にサメ類としては世界初の包括的な全ゲノム情報解析の結果を報告しました(Hara et al., Nat. Ecol. Evol. 2018)。その後も、世界でまだ目撃例が300に満たないメガマウスザメのゲノム情報を読み取ったり、大阪湾に生息し哺乳類のような胎盤をもつサメ類の遺伝子レベルの解析などを進めています。

特定生物種の個体集団のDNA情報を解析することにより、種の存続を見極める際に重要な意味を持つ遺伝的多様性などの情報を取得することも可能です。進化だけでなく、ヒトの生命現象の成り立ちを調べる目的や、地球上の生物多様性の維持においても、ゲノムDNA情報の解析には大きなポテンシャルが秘められています。


Euro Evo Devo Conferenceにて

Gareth Fraser博士と共に

シンポジウム「Advances in EvoDevOmic studies of sharks and rays」をオーガナイズ

講演「Outstanding features of developmental gene repertoires in slow-evolving genomes of elasmobranchs」


Symposium 'Genomics of Convergence'にて

講演「What do shark genomes tell us about vertebrate evolution?」




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